第24回農家巡りウォーキング

 

2023.6.6  農家巡りウォーキング

 

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【地モトNEWS】2023/6/12放送 より

 

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~みやまえの多様な農の現場を知る~

 6月6日、有馬・野川地区の農家3軒をスタッフ含め28人で巡りました。

有馬、土橋と近隣から参加者が多かった中に「以前有馬に住んでいたんです。募集を見て懐かしくなって参加しました」という男性の姿もありました。

 

9時半に子ねの神〈ねのかみ〉バス停(野川)に集合。初夏のウォーキングがスタートしました。

1軒目は、野川の白井大輔さんが奥さまと営む「ありまね農縁」。ありまねは、屋号で、有馬と野川の境で「有馬の根っこ」という意味もあるとも。農縁は、地元の皆さんとの縁を大切にしたいと思いからと農園でなく農縁にこだわった名前の由来説明から始まりました。

白井さんは力強く「とにかく旬と朝採りにこだわっています。ハウス栽培はしていません。年間約50品目を妻と2人でやっています。主に野菜と柑橘類を栽培しています」と話し、販売は主に、バス通りに設置している自動販売機で、たくさん採れた時はセレサモス宮前店にもっていくこともあるそうです。

お話をする白井さんの後ろには広い竹林が見え、ここから竹の話で参加者とのやり取りがもりあがりました。「竹の子を買うにはどうしたらよいか」の問いに「予約販売のみで、これは竹の子の名刺」と言って希望者に名刺を配る白井さん。有馬に住む参加者の一人は「これは助かる…。竹の子が大好きで近くで買えるところを探していました。来春は連絡します」とうれしそうでした。白井さんは、竹林に参加者を誘導し、根の張り方や採り方のノウハウを丁寧に説明してくれました。

敷地内には、ナスなど夏野菜があり「ここだけでは畑が足りないんです。だから、妻と開墾して畑を作ったんです」と、次に自宅の敷地を出た向かいの斜面を開墾したという畑に案内してくれました。ズッキーニ、とうもろこし、枝豆などが生育中。「ズッキーニは、浅漬けや生で食べるのがおいしい」と食べ方も説明してくれました。

「とにかく皆さんにとれたての野菜のおいしさを知ってほしいです。枝豆はとる前にお湯を沸かしておいて、とったらすぐにゆでると本当に甘いんです」と笑顔で話してくれました。

 

ありまね農縁から有馬方面に進み徒歩で約5分。2軒目は、花の苗を栽培する東有馬の「秋山フラワー」。園主の秋山智男〈としお〉さんからは、年間約10万ポットを出荷、平均すると1日あたり2000ポットの出荷をしているという驚く数のお話がありました。同じ品種でも2週間くらい出荷時期をずらし、出荷先は世田谷区の東京砧花き園芸市場と横浜市のヨネヤマプランテーション。夫婦二人で、7月半ばから8月のお盆頃までの夏休み以外は働き続けているとのこと。

「一番大変な作業は何ですか?」の質問に答えは水やり。ホースの先につけたシャワーから、ポットごとに土の湿り具合を確認しながら手作業とのこと。毎日欠かさない作業になっているそうです。

また、最近は発芽したカ ット苗を輸入していることが多くケニアで育てられた苗が、ヨーロッパを経由して成田につき宅配便で届くお話にこれまたびっくりでした。

就農して40年。宮前メロンの栽培をしたこともあったけれど、ハウスの高温に身体がついていかず断念。園芸ブームもあり、今は花苗栽培に特化しているとのお話でした。

 

3軒目は、さらに有馬方面に進み、東有馬の「内田園」。植木を生産し、造園業者に卸す植木農家を訪問しました。

宮前区では古くから植木生産が盛んで、1965年には宮前苗木植木生産組合が設立され、現在に至っています。但し年々減り続け、東有馬では、今ではお隣の「内田植木」さんと2軒になってしまったそうです。

園主の内田晴夫さんは2代目。父親の代から植木を始め、それ以前は米と野菜農家で、数年前に父親が他界し、現在は約90アール弱の敷地で息子さんと2人で植木栽培を続けています。

最近は大きな木は売れず、低木でオリーブや、柑橘系の「実がなる木」が人気。幼木を仕入れて形よく育て売ることが主になっているというお話でした。「木は3年から5年のサイクルで出荷を考えます。人気があると思い仕入れ、育てた木が、5年後に人気がなくなっていることもあり、このあたりの読みが難しいとのことでした。

近くにある長善寺には「植木の供養塔」があります。毎年3月には、植木関係者が多数集い、人間の都合で生命を絶った多くの物言わぬ植木類の霊の供養を行っており、今年も3月に植木生産組合が中心に供養祭が行われたそうです。敷地内は大きな庭園のようで、一本一本の木が大切に育てられていました。

今回は、野菜・果樹農家、園芸農家、植木農家と宮前区の多様な農のスタイルをめぐるウォーキングとなりました。

 

今回2年前の農フォーラム以来のご縁で東京工業大学の環境・社会工学院准教授の土肥真一氏とゼミ生も参加し、ゼミ生の一人は「どの農家も人手不足を言われていました。私は農家が多い地域に住んでいるので、私の地元の農業を見直してみたい」と感想を話してくれました。